日本で会社を経営している外国人の方の中には、「そろそろ永住許可を取得したい」と考えている方も多いでしょう。
永住許可を取得すると、在留期間の更新が不要となり、活動内容の制限もなくなります。そのため、日本で長期的に事業を展開したい経営者にとって大きなメリットがあります。
しかし、経営・管理ビザを持っているからといって、自動的に永住許可が認められるわけではありません。特に近年は、経営・管理ビザ制度や永住許可制度そのものが大きく見直されており、これまで以上に計画的な準備が求められています。
今回は、経営・管理ビザから永住許可を目指す際に確認しておきたい10のポイントを解説します。
1. 永住許可の基本要件を満たしているか
永住許可申請では、一般的に以下の要件が審査されます。
・素行が善良であること
・独立した生計を営むことができること
・税金や社会保険などの公的義務を適切に履行していること
・日本国の利益に適合すると認められること
経営者であっても例外ではありません。交通違反や税金の滞納などは審査に影響する可能性があります。
また、永住許可は「今後も日本で安定して生活を続けられるか」という観点で判断されるため、会社の経営状況も重要な審査対象となります。
2. 経営・管理ビザの新基準を満たせる見込みがあるか
近年、経営・管理ビザ制度は大きく見直されました。
新制度では、
・事業に供される財産の総額3,000万円以上
・日本在住の常勤職員1名以上の雇用
・一定の日本語能力
・3年以上の経営経験または一定の学歴要件
・実現可能性のある事業計画
などが重要な審査項目となっています。
もっとも、既に経営・管理ビザを保有している方については、2028年10月までの経過措置(猶予期間)が設けられています。
そのため、現時点で新基準を満たしていない場合でも、直ちに在留資格を失うわけではありません。
しかし、2028年10月以降の更新申請では、新基準への適合が求められることになります。
例えば、
・設立当初の資本金500万円のままである
・従業員を雇用していない
・事業規模の拡大が進んでいない
・経営経験を証明する資料が十分ではない
といったケースでは、今後の対応を検討する必要があるでしょう。
永住許可は現在保有している在留資格を前提として認められる制度です。
そのため、
「永住要件を満たしているか」
だけではなく、
「2028年以降も経営・管理ビザを維持できるか」
という視点で準備を進めることが重要です。
3. 事業の実体があるか
会社を設立しただけでは十分ではありません。
実際に営業活動が行われているか、取引先との契約が継続しているか、売上が発生しているかなど、事業の実体が確認されます。
特に売上がほとんどない状態や、実質的に休眠会社となっている場合は注意が必要です。
4. 財務基盤は安定しているか
経営者の場合、会社の財務状況と本人の生活基盤は密接に関連しています。
十分な資本金や運転資金が確保されていることは、今後も事業を継続できることを示す重要な要素です。
また、今後3,000万円要件への対応を検討している場合は、増資計画についても早めに準備しておくことが望ましいでしょう。
5. 赤字決算や債務超過が続いていないか
赤字決算があるだけで永住許可が不許可になるわけではありません。
しかし、複数期にわたり赤字が続いている場合や債務超過の状態にある場合には、事業継続性について慎重に判断される可能性があります。
そのような場合は、改善計画や今後の見通しを説明できるよう準備しておくことが重要です。
6. 役員報酬は適切か
永住審査では、申請人本人の収入状況も重要な審査対象です。
会社に利益があっても、役員報酬が極端に低い場合には、生計の安定性について疑問を持たれる可能性があります。
事業への投資も重要ですが、経営者本人が安定した生活を送れていることも示す必要があります。
7. 税金を期限内に納付しているか
永住申請において非常に重要なのが納税状況です。
所得税、住民税、法人税、消費税などについて、適切に申告・納付していることが求められます。
近年は未納だけでなく、納付遅延についても確認される傾向があります。
永住申請を検討している場合は、過去の納税状況を事前に確認しておくことをおすすめします。
8. 年金・健康保険の加入状況に問題はないか
社会保険の加入・納付状況も重要な審査ポイントです。
厚生年金や健康保険への加入義務があるにもかかわらず未加入であったり、保険料の未納があったりする場合は不利に働く可能性があります。
特に近年は年金記録が厳しく確認されるため、申請前に状況を確認しておきましょう。
9. 在留期間が5年か
永住許可申請では、「現在保有している在留資格について最長の在留期間をもって在留していること」が要件の一つです。
これまで多くの就労系在留資格では、在留期間3年であっても実務上は永住申請が可能でした。そのため、経営・管理ビザでも3年の在留期間を取得した段階で永住申請を行うケースが一般的でした。
しかし、2027年4月1日以降は制度運用の見直しにより、原則として最長在留期間である「5年」の在留期間を保有していることが求められる予定です。
そのため、今後は3年の在留期間では永住申請が難しくなる可能性があります。
永住申請を考えている方は、
・永住要件を満たしているか
・5年の在留期間を取得できる状態か
の両方を意識する必要があります。
特に経営・管理ビザの場合、事業の安定性や納税状況、社会保険の加入状況などが5年の在留期間取得にも影響する可能性があります。
10. 日本への定着性を示せるか
永住許可は、今後も日本で継続的に生活することを前提とした制度です。
そのため、
・長期間日本に居住している
・配偶者や子どもが日本で生活している
・日本国内に住宅や資産を保有している
・地域社会との関わりがある
といった事情はプラスに評価される可能性があります。
まとめ
経営・管理ビザから永住許可を目指す場合、単に居住年数を満たしているだけでは十分ではありません。
会社の経営状況、事業の継続性、納税状況、社会保険の加入状況など、多くの要素が総合的に審査されます。
さらに現在は、
・2027年4月から原則5年の在留期間が必要となる見込みであること
・2028年10月までに経営・管理ビザの新基準への対応が求められること
という二つの大きな制度変更があります。
永住申請を検討している方は、「永住許可の要件」と「経営・管理ビザの将来的な維持要件」の両方を意識しながら準備を進めることが重要です。
エクスパンディング・フォレスト国際行政書士事務所では、経営・管理ビザからの永住許可申請に関するご相談を承っております。
「今の会社の状況で永住申請が可能なのか知りたい」「2028年の新基準への対応について相談したい」「5年の在留期間取得も含めて戦略的に準備したい」という方は、お気軽にお問い合わせください。